甑島(こしきじま)からの便り(第48便):コーヒーブレイク
2026年(令和8年)1月12日(月)
かつて海上自衛隊のある部隊で副長として勤務していた時代、隊員が自由にアクセスできるネットワークの中に「副長の部屋」というコーナーを設け、隊員への情報伝達や服務規律などの指導事項の徹底を図っていました。これは隊員が450名ほどの部隊であったことから週2回の朝礼(課業整列や総員集合)における示達や通常のメールのみでは指導事項等がなかなか徹底できないことから実施していたものです。しかし、いつも固い内容のみでは隊員が興味を持ってアクセスしないことから、週に一度程度「コーヒーブレイク」というコーナーを設け隊員が興味を持つような内容を掲載していました。それは、過去に経験したことや最近の情勢であったり、あるいは本や雑誌の面白い記事の紹介など様々でした。
さて、このホームページを開設して3年目に入りました。初年度同様、昨年も大変多くの方にアクセスしていただき誠にありがとうございました。改めて御礼申し上げます。ただ、毎日内容が更新されるわけではないので、せっかくアクセスいただいても新しい情報が掲載されていない場合も多かったのではないかと反省しております。そこで思いついたのが、冒頭で紹介した「コーヒーブレイク」のコーナーのことです。ホームページを更新しようにも毎日報告するべき活動やイベント等もないことが続く場合もあることから、そのような場合は「コーヒーブレイク」としてあまり固くない内容をご紹介できたらと考えているところです。まずは、「甑島(こしきじま)からの便り」の一部として始めたいと思います。
☕コーヒーブレイク☕~「文明800年周期説と米国の時代の終わり(その1)」~
※ 以下の文章で紹介する内容の一部は、学術的に証明されたものではありません。あくまでも「コーヒーブレイク」として読んでいただければ幸いです。
令和8年の干支(えと)は60年に一度の「丙午(ひのえうま)」ですが、この丙午の年のたとえのごとく年明け早々国際情勢は衝撃的な事件が続いています。1月3日、米軍によるベネズエラへの大規模攻撃で同国のマドウロ大統領が拘束されました。トランプ政権は同様な理由でメキシコやコロンビアも威嚇しています。また、デンマーク自治領グリーンランドの領有にも意欲を示し武力攻撃の可能性についても言及しています。一方、米国は、27日に国連気候変動枠組み(パリ協定)から正式に離脱するとのことです。これらはほぼトランプ政権の「力による支配」に起因して生起しているようにみえますが、この一連の行動の背景には何があるのか正確な情報は不明です。
これまで新聞、SNS等で国際政治学者やシンクタンクの専門家が様々な意見を述べておられますが、そのなかで私が注目したのは、1月7日付南日本新聞総合版に掲載された、りそな総合研究所理事の石井正文氏の「米国の時代 終わり加速」という論評です。石井氏はそのなかでこれまでの専門家等の発言の論点を整理し、米軍によるベネズエラ攻撃の主な理由にアメリカの国家安全保障戦略に沿った行動であるという説と埋蔵量が世界第一位の石油利権への中国のアクセスを阻止するためとの説を挙げつつも、いずれの説も論理的な説明がつかず不可解であるとし、最後に「これまで米国は一方で国際法違反をしつつも他方で世界最大の対外援助や自国市場へのアクセス供与で、世界の安定と繁栄に貢献してきた。」とし、続けて「今やそれらの善行は見られない。そうした中、今次攻撃への国際社会の批判は従前以上に厳しくなり「米国の時代」の終わりがさらに早まりかねない。これは日本にも大変深刻な問題である。」としています。(注:トランプ政権が昨年末に発表した国家安全保障戦略のうち関連する部分は、西半球(南北アメリカ大陸)で米国の友好国を増やし、この地域への外からの経済的・軍事的関与を排除するというものです。)
私がこの論評を読んで関心を抱くのは、この氏の結論部分に関して、一連の米国の動きは単にトランプ大統領の資質に基づく一時的な対応なのか、それとも米国という国の歴史的必然なのかという点です。
そして関連して心に浮かんだのが、文明研究家の村山節(みさお)氏の「文明800年周期説」です。村山節(みさお)氏が創始した文明法則史学によれば一つの文明は1600年周期で800年の発展期と800年の衰退期があるとするものです。そしてこのサイクルは地球規模で見れば800年西洋文明が発展すれば次の800年は東洋文明が発展し、西洋文明は衰退して闇黒期に入るという具合に西洋と東洋が800年周期で盛衰を繰り返すとするものです。実際、地球上のこれまでの文明の盛衰を調べればまさにこの800年の周期で文明が盛衰を繰り返しています。例えば世界でそれぞれの時代で最も栄えた文明を並べれば次のようになります。
『シュメール文明(約6400年前~約5600年前)⇒前インダス文明(約5600年前~4800年前)⇒インダス文明(約4800年前~約4000年前)⇒メソポタミア文明(約4000年前~約3200年前)⇒ガンジス文明(約3200年前~約2400年前)⇒ギリシャ・ローマ文明(約2400年前~約1600年前)⇒唐文明(約1600年前~約800年前)⇒アングロサクソン(英/米)文明(約800年前~現在)』
青字が「東周りの文明の波」で、オレンジが「西回りの文明の波」を表していいます。このような世界史的観点を踏まえると、英米を主導とする西洋文明は終わりの周期に入っており、この後800年は東洋のどこかの国が文明の中心になるのではないかと予想されます。有名な哲学者のヘーゲルは「文明は西に動く」といっていますが、これは西洋人の視点で西回りの文明のサイクルのみに注目したのかもしれません。
地球文明がこれまでの周期どおりに動くのであれば、これからの100年はまさにこの文明の大きな転換の時期になることから世界はあらゆる分野で混迷を極めるのかもしれません。このような大きな視点でみれば石井氏の指摘は正しく、まさに日本のこれから100年の在り方は大変重要になってきます。
それでは次の800年の中心になるのはどの国なのでしょうか。実はそれについても明確な法則があります。そしてなぜ1600年周期なのかということに対しても明確な理由があるのです。それについては、次回の「文明800年周期説と米国の時代の終わり(その2)」でご紹介します。(☕)