活動報告(No.121):薩摩川内市付近の活断層について(その2)
2026年(令和8年)8月2日(日)
薩摩川内市付近の活断層について(その2)
7月28日(火)に発生した熊本地震でお亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。電気は徐々に復旧しつつありますが、水道については多くの被災地で復旧が遅れています。避難所生活も長くなり熱中症などによる災害関連死も心配されています。一日も早い復旧をお祈りいたします。
前回の活動報告(No.120)で甑断層帯に言及しましたが、今回も改めて危険性について分析し、いかなる対応が必要になるか検討したいと思います。
2月28日以降の地震発生から引き続き、余震活動は続いていますが、そのなかで震源が南下しているとともに鹿児島県内でも地下水が濁るなどの影響が出ていることが気になるところです。本日も芦北・天草地方を震源とする地震が発生しています。日奈久断層帯は大きく3つの区間に区分されますが、28日の地震は中央の日奈久区間で発生しています。一方、天草・芦北地の地震の震源は、南側の区間である八代海区間の北東端で起きている可能性があります。今後、本震が起こるとすればこの断層帯で発生する可能性は高く、その場合津波の発生も見積もられます。一方、地下水の濁りが観測されているいちき串木野市の冠嶽周辺は市来断層帯の近くであります。現在甑断層帯を震源とする地震は発生していませんが、これまでの事象から推測すれば、薩摩川内市を取り囲む断層帯へ影響しひずみエネルギ-が蓄積されている可能性はあります。そこで改めて、甑断層帯で地震が発生した場合の影響を分析してみたいと思います。以下は、今回の熊本地震と甑断層帯で地震が発生した場合の比較です。予測時間等は薩摩川内市地域防災計画(資料編)に基づいています。
| 断層帯 | 日奈久断層帯(実測) | 甑断層帯(予測) | |
| マグにチュウード | 7.1 | マグニチュード7.5 | |
| 震度 | 薩摩川内市(本土):5強 甑島:4 |
薩摩川内市(本土):6弱 薩摩川内市(甑島):6強 |
|
| 津波の高さ | 観測されず (地殻変動:84cm) |
9.25m (地殻変動:4.4m) |
|
| 津波到達所要時間 | - | 薩摩川内市(本土):30分 薩摩川内市(甑島):19分 |
⑴ マグニチュードの比較
今回の熊本地震はマグニチュード7.1、甑断層帯で地震が発生すれば、7.5と0.4の差があります。前の活動報告で記述したとおり、マグニチュードは0.4の違いでも地震エネルギーの規模としては4倍大きくなります。
⑵ 震度の比較
熊本地震の震源から遠く離れた薩摩川内市において、今回は震度5強が観測され市役所でも大きな被害が発生しています。一方、甑断層帯で地震が発生した場合は、現在の予想では本土、甑島はそれぞれ6弱、6強と予想されています。しかし、今回の熊本地震での結果を踏まえ、マグニチュードの規模及び震源からの距離を考慮すれば甑島及び本土とも震度7となる可能性が予想されます。
⑶ 津波の高さ
甑断層帯で地震が発生した場合は、地殻変動が4.4メートルと予想されています。このため10メートル前後の津波となることが予想されますが、地形(リアス式海岸と同様な形状)によっては、さらに高い津波となることも予想されます。
⑷ 津波到達時間
現在の防災計画では19分と予想されていますが、甑断層帯の震源の場所でこの時間は大きく変動すると思われます。津波の伝わる早さは重力(9.8m/s×s)×水深(m)の平方根で簡易的に導き出されます(s:秒)。したがって津波の伝搬速度は水深が深くなればなるほど速くなります。例えば水深500mで250km/時、水深100で110km/時、水深10mでは36km/時となります。
甑海峡の水深は南西側が深く500メートルから100メートルと本土に近づくにつれて浅くなっています。単純に水深100メートルと仮定すると時速110kmほどになります。
仮に甑断層帯の北東端(甑島と本土の中間付近)で発生すれば、本土及び上甑島とも15km程度ですので約8分ほどで到達することになります。一方、南西端で発生すれば、手打、青瀬、長浜地区まで5kmほどしかなく3分ほどで到達することになります。
以上の分析に基づけば、明らかに現在の被害予測は低く見積もられており、改めて詳細なシミュレーションに基づく防災計画の見直しが必要であると考えます。(了)