活動報告(No.11)
2024年(令和6年)9月6日(金)
甑島におけるエネルギー革命(その2)
2024年2月10日の朝日新聞の一面で電力の発電量と使用量を調整するために必要な太陽光風力の発電制御が2023年度1年間で約19.2億KWに達したことが報道されました。これは45万世帯使用量の1年分に相当する発電量とのことです(鹿児島県の世帯数は令和5年度で約73万世帯)。この捨てられた19億KWを蓄電池にためたり水素の生産に活用すればどんなに経済的でしょうか。災害時の復旧にも活用できると思われます。
さて、次世代太陽電池として期待されるペロブスカイト太陽電池ですが、2025年から積水化学工業が生産を開始する見通しとのことです(9月5日、南日本新聞経済面)。ペロブスカイト太陽電池は軽くて折り曲げられるのが特徴で再生可能エネルギーの起爆剤として将来の成長が官民で期待されています。また、主原料が日本の生産量が世界第2位のヨウ素で、国内で供給網が確保できるため、経済安全保障の観点からも期待できるいいことづくめのものです。調査委会社(富士経済)によれば、2040年の市場規模は2023年比、約65倍の2兆4千億円に上ると推計されています。従来の太陽電池と異なり広い平面を必要としないため、環境にも優しい技術といえます。
一方、燃焼時に二酸化炭素を排出しない水素生産にかかる技術はどうのようなものがあるのでしょうか。最新技術はいろいろありますが、私が特に注目する会社として次の2社があげられます。まず、一つ目がハイドロゲン・テクノロジー社の技術です。同社のホームページによれば、岩石由来の触媒と水だけで外部エネルギーを使わずほぼ無尽蔵に水素を生産できる技術とのことです。また、この水素は低圧で爆発の危険がないためどこにでも設置できます。ただ、ホームページからはコストが不明確です。2社目がアルハイテック社の技術です。こちらも電気などの外部からのエネルギーを必要とせず、アルミくずと特殊な溶液だけで水素が発生します。コストはアルミくずの値段がかかりますが、副産物として水酸化アルミが生成されるため、かえってプラスになるとのこと。CBCマガジンの記事によれば、「例えばゴミとして出た廃アルミ9キロ。相場だと450円ですが、ここから水素が1キロ取れます。水素ステーションなどで買うと1200円ほどになる量です。これを使って発電を行うと、電気自動車が180キロ走れるだけの電気が取り出せます。さらに、副産物として建材などに使われる水酸化アルミが26キロ生成され、これは約8000円で売れます。コストはほぼかからず、エネルギーと副産物が手に入るシステムといえます。」とのことです。2023年7月、同社は、UAE・アラブ首長国連邦に訪問した岸田首相にも同行。国の強いバックアップと産油国も注目する新技術の確かさを物語っています(CBCマガジンより)。
例えば、甑島に狭い離島の平地を占有しないペロブスカイト太陽電池を活用したりこれらの水素生産のプラントを設置し水素を無尽蔵にあるいは低コストで生産し、発電(売電及び災害時は非常用として活用)あるいはLPガスの代替として使用すれば一種のエネルギー革命が起きます。大幅な電気代、燃料費の削減が可能となります。甑島を再生するためにはこれぐらいのことをしないと物価やエネルギーが本土より高い離島に住みたいと思う人は難しいのではないでしょうか。次回は屋久島での電気自動車購入時の高額補助や充電の無料化など、特徴的な自治体の取り組みを紹介します。