活動報告(No.12)
2024年(令和6年)9月7日(土)
甑島におけるエネルギー革命(その3)
写真は川崎市臨海部(扇島)に100年の役割を終えひっそりとたたずむ2棟の高炉(高さ約100m)です。今年2月、羽田空港に通勤する高速バスから撮影したものです。この高炉は「JFEスチール東日本製鉄所京浜地区」で、100年余り前の大正時代にJFEの前身の日本鋼管が高炉を使った鉄の生産を始め、その後、日本の高度経済成長を支えた京浜工業地帯の象徴でした。ひっそりとたたずむ高炉が一つの時代の終わりを象徴しているようです。
川崎市の発表によれば、この製鉄所の跡地などに新たに生まれる約 400 ヘクタールの広大な土地について、日本初の大規模水素サプライチェーンや「空飛ぶ車」など、次世代モビリティの実証実験ができるようにするほか、商業施設なども整備するとしています。また、首都圏の防災拠点としての機能も備える計画です。まさに100年に一度のビッグ・プロジェクトであり、新たな時代の象徴となる一大未来都市が出現します。
さて、川崎市のような大規模なものではありませんが、日本各地の自治体もそれぞれのレベルでカーボンニュートラル、エネルギーの地産地消などの取り組みを始めています。以下、簡単に紹介します。
① 屋久島町は、CO2フリーの島作りを進めており、電気自動車購入にあたり国や県の補助とは別に55万円の補助が受けられます。また、町内には13カ所の充電設備が一般開放されているほか、家庭への充電設備設置費の半額を補助しています。
② お隣の日置市では、脱炭素化に取り組む新電力会社「ひおき地域エネルギ-」と連携し水力や太陽光を活用した発電事業に取り組んでいます。そして、地域おこし協力隊員を公募し、当該会社で社員としてエネルギーの地産地消の推進に取り組んでもらうとのことです。
③ 宮崎県三股町は民間事業社で構成される「町脱炭素きゅうなん隊」と連携強化を目指す協定を締結し、主要公共施設への太陽光発電整備や独自の電柱を設けた施設間の電力融通、蓄電池などによる災害回復力向上などの取組み(総事業費は5年で18億円)を進めています。
以上の例は、脱炭素、エネルギーの地産地消に取り組む自治体の一部の紹介ですが、いろいろと参考になることが多いと思います。また、脱炭素の取組みを通じて自治体の地域課題解決や災害対策の充実による町全体のレジリエンス向上などの視点を持ちつつ事業、施策を進めることが肝要ではないかと思います。